日経春秋 2012.07.25 先自隗始
2012/7/25付中国の故事に由来する味わい深い言葉は多い。「まず隗(かい)より始めよ」は、そんな成語の一つだろう。遠大な事業をなし遂げようとするなら足元から着手すべきだ、という意味。紀元前4世紀の終わりごろ、再興を目指す燕(えん)という国の王と家臣の会話がもとになっている。
许多喻意深远的话其典故出自中国的故事。成语「先自隗始」便是其中之一。意谓欲成大业跟前着手之意。此语出自四世纪末时,一心想振兴燕国的燕王与家臣之间的对话。
▼今からおよそ2300年も前の言葉を改めて思い浮かべたのは、大津市の中学2年生が自殺した問題をめぐる平野博文文部科学相の発言を目にしたからだ。「いじめが深刻化する前に、全国の教育委員会から早く文科省に報告を上げてもらいたい」。この一言が、胸にすとんと落ちない。「まず隗より」ではないのか、と。
会勾起2300年前古人的话,是因为看到了平野博文文部省科学大臣对于大津市国中2年级学生自杀问题所作的发言中提及「希望全国的教育委员会在学校凌霸演变成严重问题前尽早呈交报告给文科省」一语让笔者无法认同之故。难道不应该「先自隗始」吗?
▼文科省といえば、福島第1原発事故の後、米軍の放射線測定にもとづく汚染地図の提供を受けていたのに、国民に知らせなかった。緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の試算を米国には伝えたのに、国内向けに公表しなかった。大切な情報をちゃんと発信せず、国民の安全と安心をそこなった印象は強い。
文科省在福岛第一核电事故发生后,收到了美军根据放射线测定提供的污染范围地图却未告知国人。紧急状态放射能影响快速预测系统(SPEEDI)的试算结果知会美国却未对国内公开,留给国民重要情报未确实传递,影响人民安全及制造恐慌的深刻印象。
▼その後、国民の不信をぬぐい去るような真剣な検証や反省をしたわけでもない。国民が視野の真ん中に入ってこない、そんな役所体質が深く染みついているようにみえる。いじめについて文科相の言うことはもっともだ。けれど、お膝元の体質を改めないなら、上がってくる「報告」も何の役に立つのか、と思ってしまう。
之后,亦不见其有认真检讨反省以兹消除国民对其不信任的举动,显现出不将民众放在眼里的公家机关的本质。文科大臣对于凌霸问题的发言更是将此一本质表漏无疑,不经让人觉得自身本质不改的话,呈交上来的「报告」又有何用呢?!