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「羊をめぐる冒険」の翻訳(46)

「羊をめぐる冒険」の翻訳(46)



1 鼠の最初の手紙(3)

街について話そう。

我々の生まれた街ではなく、べつのいろんな街だ。

世界には実に様々な街がある。それぞれの街にはそれぞれのわけのわからないものがあって、それが僕をひきつけるんだ。そんな風にして、僕はこの何年ものあいだにずいぶん多くの街を通り抜けてきた。

いきあたりばったりに駅を下りると小さなロータリーがあって、街の案内図があり、商店街がある。どこだってこれは同じだ。犬の顔つきまで同じだ。街をとりあえずぐるりと一周してから不動産屋に入って安い下宿を紹介してもらう。もちろん僕は他所者だし、小さな街というのは排他的だからすぐには信用してはもらえないけれど、僕は君も知ってのとおりその気にさえなればなかなか人あたりの良い人間だし、十五分あれば大抵の人間とは仲良くなれる。それで居場所も決まるし、街についていろんな情報も手に入る。

それから次は職捜しだ。これもまたいろんな人と仲良くなるというところから始まる。君ならきっとうんざりするだろうけれど(僕だってそれなりにうんざりしてるんだぜ)、どうせ四ヵ月も住みやしないんだ。誰と仲良くなったって、どうってこともないさ。まず街の若い連中が集まる喫茶店かスナックをみつけて、(どこの街にだってこういうのはある。街のへそみたいなもんだ)、そこの常連になり、知りあいを作って仕事を紹介してもらうんだ。もちろん名前も身の上話も適当にでっちあげる。そんなわけで、僕は今では君の想像もつかないくらいたくさんの名前と身の上を持っている。時々、本来の僕がどんな風だったかさえ忘れてしまいそうなほどだ。

仕事だって実にいろんな仕事をした。大抵は退屈な仕事だったけれど、それでも働くのは楽しい。いちばん多かったのはガソリン?スタンドだね。それからスナックのバーテン。本屋の店番もしたし、放送局で働いたこともある。土方もやった。化粧品(けしょうひん)のセールスもやった。セールスマンとしての僕の評判はかなりのものだった。それからいろんな女の子と寝た。違った名前と違った身の上で女の子と寝るというのもなかなか悪くない。

まあ、そんなくりかえしさ。

そして僕は二十九になった。あと九ヵ月で三十になろうとしている。

こういう生活が自分にぴったりしたものかどうかは、まだよくわからない。放浪的な性格というものが普遍的に存在するものかどうかもわからない。誰かが書いていたように、長い放浪生活に必要なものは三つの性向のうちのひとつであるのかもしれない。つまり宗教的な性向か、芸術的な性向か、精神的な性向かだ。そのどれかがなければ、長い放浪は存在しないということだ。でも僕がその三つのうちのどれかに適合するとは思えない。

(しいてどれかというと……いや、やめよう)

あるいは僕はまちがえたドアを開けたままひっこみがつかなくなってしまったのかもしれない。しかしどちらにしても、あけてしまったからにはうまくやるしかない。だっていつまでもつけでものを買いつづけるわけにはいかないからね。

ということさ。

最初にも言ったように(言ったっけ?)、君のことを考えると僕は少し危なくなる。たぶん君が僕に僕が比較的まともだった時代のことを思い出させるからだろう。





(追伸)

僕の書いた小説を同封した。僕にとってはもう意味のないものだから適当に処分してくれ。

この手紙は十二月二十四日にそちらに着くように送達で出す。うまく着いてくれるといいけれどね。

とにかく誕生日おめでとう。

 そして

ホワイト?クリスマス。





  还是说说城市吧。

  并不是说我们出生的城市,而是其它的各种各样的城市。

  在这个世界上有各种各样的城市。在这些城市里存在着各种各样不明白的东西,这些东西在吸引着我。就因为这些在这些年当中我走过了很多的城市。

  无论走到那里,从车站出来就是一个小的交通岛,有城市的交通图,也有商店街。别管什么地方这些都是相同的。甚至连狗的模样都一样。在街道转一转之后就到房介中心寻找到便宜的房子。当然我是外地人,在小的城市有排他性,不会马上就能取得信任。我也是你所知道的那种人,若是用心地话人缘也不错。用15分钟的时间就会和很多人成为好朋友。就这样也就能搞定住房,也能把有关该小城的各种信息弄到手。

  接下来是找工作。这也同样首先是和各种各样的人交好朋友。若是你的话肯定会非常讨厌的(我也同样会讨厌的),怎么连四个月都不住。别管和谁成为好朋友,那样的事并不难。首先寻找年轻人常出没的咖啡店或小酒馆(在哪个城市都会有这样的地方,像是城市的地理中心),成为那里的常客,结识朋友,就可以寻找到工作。当然要把名字和身世经历也适当地编造出来。因此,我到现在就有很多你想像不到的名字和经历。甚至偶尔就会把真实的我都忘记了。

  要说工作,的确做了很多。虽有些是无聊的工作,可是工作起来却是很快乐的。工作最多的是在加油站,其次是酒馆的调酒师。书店的柜员也干过,在广播台也干过。还有土木小工。还有化妆品的推销员。当化妆品推销员的我的传闻很多,和很多女子睡过觉。用不同的名字和不同的身份同不同的女子睡觉。

  就这样重复着。

  我已经29岁了,再过9月我就30岁了。

  这样的生活对我自己是否合适,现在还不明白。这样放浪的性格是否普遍存在也不清楚。好像有谁这样写过,长时间放浪生活需要这三个倾向性的一个。那就是宗教的倾向、艺术的倾向、精神的倾向。如果这三个一个都不存在,就不会有长时间的放浪。可是我从来没有觉得适合那三个当中的哪一个。

  (强迫要适合哪一个的话,算了,还是停止吧。)

  或者说我开着错误的门,却又不能后退。但是无论是哪一个,因为门是开着就只能做好。在什么时候也不能总赊帐不停地买东西。

  就这些了。

  就像开始说的那样(是说了吗?),每当考虑你的事情,我就有点担心。你可能会让我想像出我是比较正经时代的产物。

  

  (追加)

  把我写的小说一起寄给你。对我来说已经没什么意义了,想办法处理就可以了。

  为了能在12月24日寄到你那里我就用了快递。若能正常到达就好了。

  祝你生日快乐!

  还有圣诞节快乐!

老鼠是一位喜欢流浪放荡的人,走遍各个城市的大街小巷。
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