随心学


 仏教の特筆すべき特徴としては、いわゆる「神」を立てない。一切の平等を説き、カースト制度を否認し、生まれではなくて、個人の実践のみを尊ぶ。覚りを救済のよりどころとして仏を理想化するが、創造者?征服者の性格は仏にはない。初期の仏教は民衆の救済祈願が反映しており、仏教徒の慈悲の実践が強調される。現実の苦に即した教えをさまざまに説き(「対機説法」)、教説も多種多彩で教条的なドグマは存在しない。その人自らの行い(心、ことば、身体的行為)をことに重視する。その際、すべてに煩悩(欲望や執着)を離れたあり方が「無我」と